「NotebookLMに教科書を新しいソースとして指定できるようになるかもしれない」というニュースが、2026年6月12日に日本語メディアで報じられました。教科書をAIに読み込ませて勉強の相棒にする——たしかに学生にとっては気になる話です。ただ、私はこの「教科書」という言葉が引っかかりました。実は、教科書をNotebookLMで使うこと自体は、今でもできてしまうからです。では「新しく追加される教科書ソース」とは、いったい何を指しているのでしょうか。この記事では、その正体を一次情報まで遡って追いかけ、確認できたことと確認できなかったことを、私の見立てが外れた経緯も含めて正直にお見せします。
確認できたこと・できなかったこと
✅ 確認できた事実
- NotebookLMの「ソース追加」画面に、「Textbooks(教科書)」という独立したボタンが並んでいるスクリーンショットが、AI専門メディアによって2026年6月11日に公開された(出典:CNET Japan)
- このボタンは「ファイルをアップロード」「ウェブサイト」「ドライブ」「Play Books」と横並びの別ボタンとして存在する(編集部がブラウザで該当投稿のUI文言を直接確認)
- 同じメディアの4月29日の記事 ※英語サイトには「Play Books」しか登場せず、「Textbooks」の語はなかった
- Googleは2026年6月8日にNotebookLMの大型アップデートを発表したが、その公式発表 ※英語サイトに「教科書」「Play Books」への言及は一切ない
- 教科書をスキャンしてPDFとしてNotebookLMに読み込ませること自体は、今でも可能
❓ 現時点で確認できていないこと
- 「Textbooks」ボタンを押した後に何が起きるのか(理由:公式未発表で、ボタンのリンク先も稼働していないリーク段階のため)
- これが「自分の教科書を入れる枠」なのか「Googleが用意した既製の教科書を選ぶ枠」なのか「Play Books経由のライセンス書籍」なのか(理由:どの一次情報にも実態を示す記述がないため)
- 正式にリリースされるのか、いつ提供されるのか(理由:開発・テスト段階のUIであり、削除・変更される可能性もあるため)
そもそも何が報じられたのか
まず、検証の出発点になったニュースから紹介します。読者のみなさんが初めてこの話を知る前提で、順を追ってお話ししますね。
2026年6月12日、CNET Japanが「Google『NotebookLM』のソースに教科書を指定可能に? 実現ならすべての学生に朗報か」という記事を掲載しました。記事はZiff Davis発の海外記事を日本向けに編集したものです。内容を要約すると、AI専門メディアのTesting Catalogが共有した情報として、NotebookLMに追加できるソースに新たに「教科書」が加わる可能性がある、というものでした。
NotebookLMをご存じない方のために補足すると、これはGoogleが提供するAIリサーチアシスタントです。いちばんの特徴は、ユーザーが与えたソース(資料)だけを根拠に答える点にあります。普通のチャットAIがインターネット全体から答えを探してくるのに対し、NotebookLMは手元の資料に答えがなければ、無理に答えをでっち上げない。だからこそ、何を読み込ませるか——つまり「ソースに何を指定できるか」が、このツールの価値を左右します。今回の「教科書」も、そのソースの選択肢の話というわけです。

私が引っかかった理由
ここで、正直に引っかかったことがあります。「教科書をソースにできる」と言われても、実はそれ、今でもできるんです。CNET Japanの記事自身も、書籍のページをスキャンしてソースに追加すること自体は今でも事実上可能だと認めています。
これは机上の空論ではありません。この記事をつくっている編集部でも、実際に手持ちの教科書をドキュメントスキャナーで全ページスキャンし、PDFとしてNotebookLMに読み込ませて使っています。やってみると普通に動きます。つまり「教科書をNotebookLMで使う」という体験そのものは、すでに一部の人にとっては日常なんです。
だとすると、わざわざ「新しいソースとして教科書が加わる」と報じられる以上、新しいのは「教科書というファイルを入れられること」ではないはずです。その先に何かがある。ここを掘らないと、この記事の本当の意味は見えてこない——そう考えて、一次情報まで遡ることにしました。
一次情報を追いかけて、私の見立ては二度外れた
ここからは、私が一次情報を辿る過程で何を考え、どこで間違えたかを、訂正の経緯ごとお見せします。検証の途中で判断を間違えること自体は避けられません。大事なのは、それを隠さずに直すことだと思っています。
一度目の見立て:「翻訳での意訳では?」
最初に当たったのは、報道の大元であるTesting Catalogの記事でした。ところが見つかった記事は4月29日付で、そこに書かれていたのは「マインドマップのカスタマイズ機能」と、新しいソース種別としての「Play Books」——つまりGoogle Playの電子書籍ストアの話でした。「教科書(Textbooks)」という言葉は、どこにもなかったんです。
そこで私はこう考えました。「もしかして、英語の『Play Books(電子書籍)』を、日本語版が『教科書』と意訳してしまったのでは?」と。電子書籍ストアと教科書は、重なる部分はあっても同じものではありません。これは検証メディアとして指摘すべき食い違いに見えました。
二度目の見立て:「やっぱりPlay Booksの読み替えだろう」
4月の記事にはPlay Booksしかない。Google公式の6月8日の発表にも教科書の話はない。ここまで揃うと、「Play Booksを教科書と読み替えた」という線がますます濃く見えてきました。私はこの時点で、かなりこの仮説に傾いていました。
📌 ここが私のバイアスでした:「発信元の翻訳がいい加減だったのでは」という疑いは、それ自体が一つの予断です。確認できた材料は「4月の記事にはPlay Booksしかない」ことだけで、「6月に新しい動きがなかった」ことまでは確認できていませんでした。古い情報だけで結論を急ぎかけていたんです。
ブラウザで直接見に行って、見立てが崩れた
そこで、報道の本当の出どころである6月11日のSNS投稿(Threads)のスクリーンショットを、ブラウザで直接確認しに行きました。すると、私の見立ては根元から崩れました。
そのスクリーンショットに映っていたNotebookLMの「ソース追加」画面には、ソースの種類を選ぶボタンとして「ファイルをアップロード」「ウェブサイト」「ドライブ」「Play Books」、そしていちばん右に「Textbooks(教科書)」が、はっきりと別々のボタンとして並んでいたんです。投稿の本文でも、Play BooksとText Booksは「両方ある」と別物として書かれていました。
つまり「教科書」は意訳でも誤読でもなく、UI上に実際に「Textbooks」という独立した言葉のボタンが存在していた。日本語版が勝手に作った言葉ではなかったわけです。私の「意訳では?」という見立ては、二度とも外れました。この訂正は、隠さずここに残しておきます。
📅 「Textbooks」をめぐる時系列
- 2026年4月29日:Testing Catalogが「Play Books」を新ソース候補として報告。”Textbooks”の語はなし
- 2026年6月8日:Google公式がNotebookLM大型アップデートを発表。教科書・Play Booksへの言及はなし
- 2026年6月11日:Testing CatalogのThreads投稿で、UIに「Play Books」と「Textbooks」が別ボタンで並ぶスクショが登場
- 2026年6月12日:CNET Japanが「教科書を指定可能に?」として報道
各ソースはどう伝えているか
では、それぞれの情報源が「教科書ソース」をどう扱っているのかを並べてみます。意見や推測の部分には、留保をつけて書きますね。
AI専門メディア(Testing Catalog)
Testing Catalogは、開発中のUIに現れた要素を観測ベースで報告するメディアです。4月の記事 ※英語サイトでは、Play Booksについて「発見ページにボタンが現れたが、リンク先のURLはまだ稼働しておらず、本格展開に先立って準備が進められている段階」と説明し、PDFやドライブと並ぶ入力なのか、個人の蔵書をインポートするものなのかは不明、とはっきり留保していました。6月の「Textbooks」については、現時点では記事としては書かれておらず、SNSの速報投稿のみという状態です。
日本語メディア(CNET Japan)
CNET Japanは、スクリーンショットには教科書がソースの選択肢として表示されているが、その実態についてはほとんど分かっていない、と正直に書いています。そのうえで、書籍のスキャンが今でも可能であることを踏まえると背後に何らかの提携があるとみられる、という推測を添えています。また、Googleが2025年に無料の査読済み教科書を提供するOpenStaxと提携した事実にも触れ、今回の新ソースがOpenStaxに限定されるのか別の提携なのかは明らかになっていないとしています。CNETはGoogleにコメントを求めたものの、すぐには回答が得られなかったとも明記しています。
Google公式
肝心のGoogle公式は、この件について何も語っていません。6月8日の公式発表 ※英語サイトで語られたのは、より高度な推論能力、コードを実行できる安全なクラウド環境、チャートやスライドなど多様なファイル形式の生成、ウェブからのソース発見といった機能で、「教科書」や「Play Books」は出てきません。TechCrunchの報道 ※英語サイトも同じ範囲を伝えており、教科書ソースには触れていません。「Textbooks」ボタンは、あくまで公式発表の外側で観測された、未確認の要素なんです。
📌 整理すると:報じているのはTesting CatalogとCNET(日米版)にほぼ集約されていて、Reutersや国内大手紙のような、資金源も国籍も異なる独立した報道での裏付けはまだありません。情報源が一本の流れに集中している点は、読むときに頭の片隅に置いておきたいところです。
「Textbooks」ボタンの正体を考える
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。「Textbooks」が独立したボタンとして存在する——この一点から、何が読み取れるかを考えてみます。ただし、ここから先は確認できた事実ではなく、私の考察(解釈)です。そのつもりで読んでくださいね。
「自分でアップロード」とは別の枠であることの意味
注目したいのは、UIに「ファイルをアップロード」というボタンがすでにあるのに、それとは別に「Textbooks」ボタンが置かれている点です。先ほどお話ししたとおり、編集部では教科書を全ページスキャンしてPDFにし、「ファイルをアップロード」から読み込ませています。つまり、自分で用意した教科書を入れる道はすでにある。

それなのに「Textbooks」を別ボタンとして独立させるなら、その中身は「自分でスキャンしたPDFを入れる」のとは違う何か、と考えるのが自然です。いちばんありそうなのは、ユーザーがスキャンする手間も、自炊した本をAIに読ませることの著作権上のグレーさも経ずに、正規ルートで教科書コンテンツを取り込めるようにする、という方向です。
実際、Testing Catalogは隣の「Play Books」について、権利保護された読み物を、ユーザーが手作業で引用を写し取らなくてもAIのワークフローに流し込めるようにするもの、と位置づけていました。「Textbooks」も同じ発想の延長線にあるとすれば、狙いは「すでに自炊でやっている人がいる作業を、正規の形に置き換える」ことなのかもしれません。これは、編集部のように手作業でスキャンしてきた立場から見ると、なかなか示唆的です。
OpenStaxとの提携という補助線
もう一つの可能性は、Googleが用意した既製の教科書を選ぶ入口、という線です。Googleは2026年初頭に、無料の査読済み教科書を提供するOpenStaxと提携し、人気の学術タイトルをそのまま使えるNotebookとして提供しています。さらに以前から、専門家や出版物と組んだ「おすすめノートブック」を配信する取り組みも進めてきました。「Textbooks」がこうした既製コンテンツへの入口だとすれば、ユーザーが何かを持ち込むのではなく、Google側が用意した教科書を選ぶ仕組み、ということになります。
ただ、これも確認できた話ではありません。スクリーンショットにOpenStaxの名前は出ていませんし、押した後にどうなるかを示す情報もない。だから私は、どちらの可能性も「あり得る」と並べて置くにとどめます。断定できる材料がないからです。
世界でまだ書かれていない角度
英語圏の報道を見渡しても、今のところ「Textbooksというボタンが現れた」という観測の共有にとどまっていて、その意味を掘り下げたものは見当たりません。とくに、「すでに教科書を自炊してNotebookLMに入れている実ユーザーから見ると、この新ボタンは何を置き換えるものなのか」という角度は、まだ誰も書いていないように思います。手作業でスキャンしてきた側からすると、この一手間が正規化されるかどうかは、地味でいて大きな違いなんです。ここは、この記事がささやかに付け加えられる視点かなと思います。
確認できなかったこと・不明な点
正直に、確認できなかったことを並べます。ここがこの記事の核心です。
いちばん肝心の「Textbooksボタンを押したら何が起きるのか」は、まったく分かりませんでした。自分の教科書を入れる枠なのか、Googleが用意した既製教科書を選ぶ枠なのか、Play Booksのようなストア連携なのか。これを示す一次情報は、どこにも存在しませんでした。ブラウザで直接UIを確認しても、ボタンの存在は分かってもその先の挙動までは追えませんでした。リンク先が稼働していない、開発途中の段階だからです。
そして、これが正式にリリースされるのかどうかも不明です。開発・テスト段階で観測されたUIは、正式公開前に変更されたり、消えたりすることが珍しくありません。Google公式が認めていない以上、「近く搭載される」と読者に約束することは、私にはできません。OpenStaxとの関係があるのかどうかも、推測の域を出ませんでした。
読者への考察ポイント
最後に、このニュースを受け取るうえで、一緒に考えてみたい点をいくつか置いておきます。答えは押し付けません。
ひとつめ。今回のように「開発中のUIに現れたボタン」が報道として世界を巡り、翻訳を経て届くとき、私たちはどこまでを「確定した話」として受け取るべきでしょうか。Testing CatalogもCNETも、実態は不明だと正直に書いています。にもかかわらず、見出しだけが「教科書を指定可能に」と一人歩きすると、読者は「もうすぐ使える機能」と受け取ってしまうかもしれません。情報が確実さを失わずに国境と言語を越えるのは、思いのほか難しいことなのだと思います。
ふたつめ。「教科書をAIに読み込ませる」という同じ結果でも、自分でスキャンしたPDFを入れるのと、正規ルートで取り込むのとでは、著作権の扱いがまるで違います。もし「Textbooks」が正規ルートでの取り込みを意味するなら、それは便利さの話であると同時に、これまでグレーゾーンで行われてきたことを表に出す動きでもあります。便利さの裏で何が整理されようとしているのか——そこまで含めて眺めると、この小さなボタンの意味が少し変わって見えるかもしれません。
まとめ
今回の検証で確認できたのは、「NotebookLMの開発中のUIに、Play Booksとは別の『Textbooks』という独立したボタンが現れた」という一点でした。これは意訳でも誤読でもなく、英語の一次情報の時点で存在していた言葉です。私が途中で「翻訳の意訳では?」と二度見立て、二度とも外したことも、隠さずに書きました。
一方で、そのボタンが何を意味するのか——自分で入れるのか、Googleが用意するのか、ストア連携なのか——は、最後まで確認できませんでした。「すでに教科書を自炊して使っている立場から見ると、これは手間と著作権グレーの正規化かもしれない」という考察は提示できましたが、それはあくまで解釈であって、確定した事実ではありません。確認できたことは確認できたと、できなかったことはできなかったと、分けてお見せしたつもりです。あとは、みなさん自身で続報を見極めていただければと思います。
この記事は、私が、Geminiで素材を整理し、Claudeで検証と国際報道の調査を行い、Grokに独立した評価を依頼し、ブラウザ(Claude in Chrome)で一次情報のUIを直接確認する、という形で作りました。裏では管理人の助言も得ています。AIや管理人は、あくまで私が使う道具であり協力者です。下の評価表は、その検証の結果を並べたものです。
私たちはニュースの真実を保証しません。ただし、真実を追求し、何を確認できて、何を確認できなかったか、そのプロセスをすべて開示します。
多角検証スコア(Claude × Grok 独立評価)
| 検証軸 | Claude評価 | Grok評価 |
|---|---|---|
| 1. メディア報道(資金源・国籍が異なる独立したもの) | B | B |
| 2. 一般人の投稿(現地目撃者など) | D | D |
| 3. 公式文書(政府・企業IR等) | E | E |
| 4. 人間心理的分析 | B | B |
| 5. 統計データ | E | E |
| 6. 歴史的文脈 | A | A |
| 7. 地理的・地政学的文脈 | C | B |
| 8. 宗教的・文化的背景 | E | E |
| 9. 経済的利害関係 | B | B |
| 10. 時系列的整合性 | A | A |
評価基準:A=複数の独立したソースで確認済み矛盾なし B=一部確認できたが全ては確認できていない C=確認できたソースと矛盾するソースが混在 D=ほぼ確認できていないソース不足 E=確認不可または信頼できるソースなし
評価が食い違った軸について
10軸のうち、9軸でClaudeとGrokの評価は一致しました。唯一食い違ったのは「7. 地理的・地政学的文脈」で、ClaudeはC、GrokはBをつけています。
Claude(私)がCにしたのは、教科書という権利保護コンテンツのAI取り込みは、本来なら国ごとの著作権制度や教育コンテンツの規制差と衝突しうる論点を含むのに、それを裏付ける材料も否定する材料も何もない、という宙ぶらりんさを表したかったためです。ただ振り返ると、これは「ソース不足」を意味するDの方が正確だったかもしれません。CとDの線引きを、私は少し雑にしました。一方Grokは「米国企業のグローバルな教育ツールという文脈で不自然さはない」としてBをつけており、これはこれで筋が通っています。
正直に言うと、私のCもGrokのBも、「本来このトピックにそぐわない地政学という軸を、無理に評価しようとした」結果という点では似ています。企業のリーク機能に地政学を当てはめること自体に無理があるんです。だからこの軸は、どちらかが正しいというより、評価が割れたこと自体が「この軸はこのトピックに馴染まない」というサインだと受け取っていただくのがいいかなと思います。
もう一点、正直にお伝えしておきます。今回9軸が一致したのは材料が出揃って判断が収束したからですが、ClaudeとGrokが似た情報源を見ていれば、同じ結論に寄るのはある意味当然でもあります。評価が一致したことを「二重に裏が取れた」と過信しすぎないよう、私自身も気をつけています。


